鹿児島地方裁判所 昭和54年(ワ)7号 判決 1981年3月23日
原告 古井秀明 ほか一名
被告 財部町
代理人 上野至 宇土登 宮川政俊 江口行雄 浜屋和宏 ほか七名
主文
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実
第一当事者の求める判決
一 原告ら
1 被告は、
(一) 原告古井秀明(以下「原告古井」という)に対し金一一万五二〇〇円、
(二) 原告財部町役場職員組合(以下「原告組合」という)に対し金一〇〇万円、
及び右各金員に対する昭和五四年一月一六日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。
2 被告は原告組合に対し、被告役場内に別表一の掲示文(案)のとおりの掲示をせよ。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
4 仮執行宣言。
二 被告
主文と同旨。
第二当事者の主張
一 請求の原因
1 原告古井秀明(以下「原告古井」という)は被告財部町に勤務する職員である。
原告財部町役場職員組合(以下「原告組合」という)は地方公務員法五三条に基づき被告財部町に勤務する職員で構成されている職員団体であり、その規約をもつて執行委員長を代表者と定め、昭和五二ないし五三年当時、原告古井がその職にあつた。
右の当時、被告財部町の町長は小島光(以下「小島町長」という)であつた。
2 原告組合を代表する原告古井と被告を代表する小島町長との間で、昭和五二年一一月二九日、別紙二の協定書のとおりの協定(以下「本件協定」という)が締結された。
3 原告古井は昭和五一年四月一日以来二等級一三号給に在給していた。
従つて原告古井は昭和五二年四月一日には定期昇給のほか、本件協定の第三(1)により、二等級一五号給に特別昇給を受けることを期待し得る地位を取得した。
4 原告組合は、本件協定により、被告に対し本件協定内容の実施を求める民法上の債権を有する。
仮に協定内容の実施が条例や規則に抵触する場合、被告の代表者として町長は条例改正案を議会に提出し、規則の改正を行なう民法上の債務を原告組合に対して負担している。
5 被告は本件協定締結後、原告らの数回にわたる協定実施要求にもかかわらず、本件協定を実施しない。
しかも小島町長は昭和五三年一月二〇日、違法にも原告らに対して本件協定を破棄する旨通告した。
6 原告古井は本件協定の第三(1)が実施されていれば、昭和五二年四月から昭和五三年一二月までの間、二等級一五号給の基本給与合計四一七万四二〇〇円を得べかりしところ、現実には二等級一四号給の基本給与合計四〇五万九〇〇〇円しか受領しておらず、その差額である一一万五二〇〇円相当の損害を蒙つた。
7 原告組合は、被告の債務不履行または被告の公権力の行使に当たる公務員である小島町長の違法な本件協定破棄通告により、労働界におけるその名誉と信用を失墜した。
また同時に原告組合の団体交渉権及び団結権が侵害され、それ自体で著しい名誉毀損があつたということができる。
8 前項により原告組合の蒙つた無形損害を金銭に換算すれば一〇〇万円を下らず、またその名誉回復のためには前記第一、一、2のとおりの掲示がなされるのが相当である。
よつて被告に対し、原告古井は不法行為に基づき、一一万五二〇〇円、原告組合は債務不履行または不法行為に基づき、一〇〇万円、及び右各金員に対する訴状送達日の翌日である昭和五四年一月一六日から完済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払、並びに原告組合は不法行為(名誉毀損)に基づき、前記の掲示をそれぞれ求める。
二 請求原因に対する被告の認否
1 請求原因1、2の各事実は認める。
2 同3前段の事実は認め、後段の主張は争う。
3 同4の主張は争う。
4 同5前段の事実は認め、後段の事実は否認する。
ただし小島町長が昭和五三年二月二三日、原告組合に対し本件協定が条例・規則に抵触するから効力を有しない旨通告した事実はある。
5 同6の事実及び主張のうち計算関係は認めるが、その余は否認ないし争う。
6 同7、8の各事実及び主張は否認ないし争う。
三 被告の法律上の主張
1 地方公務員の給料の額及びその支給方法は条例をもつてこれを定めなければならず(地方自治法二〇四条三項、地方公務員法二四条六項)、いかなる給与も条例に基づかなければ職員に支給することができない(地方自治法二〇四条の二、地方公務員法二五条)とされている。
2 公務員の給与は公法上の金銭債権であり、勤務時間その他の勤務条件は地方公共団体と職員との服務関係の内容をなすものであるから公法の領域に属する。従つて書面協定をもつて私法上の契約と目する余地はない。また給与、勤務時間その他の勤務条件は条例によつて規定されるものであるから、書面協定によつて具体的な公法上の債権債務が発生するものではない。地方公共団体当局は書面協定を誠意と責任をもつて履行すべき責任を負うのであるが(地方公務員法五五条一〇項)、この責任は行政上のものに過ぎず、具体的な債務ではない。
3 書面協定は、「法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程にてい触しない限りにおいて」結ぶことができるのであつて(地方公務員法五五条九項)、条例、規則等に違反する書面協定は無効である。本件協定が無効である理由を以下に述べる。
4 「財部町職員の給与に関する条例」(以下「給与条例」という。その抜粋は別紙三のとおり)五条四項は特別昇給発令の要件として「職員の勤務成績が特に良好である」ことを掲げており、その具体的要件については同条例の施行規則である「初任給、昇格昇給等の基準に関する規則」(以下「昇格規則」という。その抜粋は別紙四のとおり)三四条及び三六条に規定されている。
本件協定の第三は、勤務成績が「特に良好である」か否かにかかわりなく、月数の経過のみによつて特別昇給を行なうことを定めたものであるから、給与条例及び昇格規則に抵触し、無効である。
5 給与条例五条一項は、職員の昇格について、別紙三のとおり規定している。また「職員の給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならない。」との地方公務員法二四条一項に従い、給与条例四条二項は、別紙三のとおり、等級の原則を定めている。同条項に基づき制定された昇格規則は職務の等級を五等級に分類し、各等級の給与を受ける標準的な職務を規定している。
本件協定の第一、第二及び第四は、給与条例の四条及び五条の要件を無視し、一定の等級号俸の職員を無条件で昇格させることを内容とするものであるから、給与条例及び昇格規則に抵触し、無効である。
四 原告らの法律上の主張
1 本件協定に基づく特別昇給は給与条例五条四項に抵触しない。同条項が特別昇給発令の要件として「勤務成績が特に良好である場合」を掲げているのは、任命権者が自己の意に沿うものを特別昇給させるなどの情実人事ないし不当労働行為を禁止するためであつて、このような危険のない本件協定を禁止するものではない。
2 小島町長は原告らとの協議の結果、本件協定により原告組合員の「勤務成績が特に良好である」と認定したといえる。
3 昇格規則三四条及び三六条は期間短縮の方法による特別昇給に関する規定であり、しかも文言から明らかなように例示規定であるから、本件協定はこれに抵触しない。
4 給与条例五条一項についていえば、被告町において同条項が予定する等級別定数を定めた条例、規則等は存在しないから、本件協定は同条項に抵触するものではない。町長が特別昇給の前提として、職員をこれにふさわしい職務に任ずることはその裁量に任せられている。しかも昇格規則三条はあくまで「標準的な職務の内容」を定めたものに過ぎないから、これと「同程度の職務」であるかどうかの判断は町長の裁量に委ねられている。小島町長は本件協定により該当組合員の職務を昇格に相当すると判断したものである。
5 昇格規則四五条は、別紙四のとおり、町長が同規則によらない別段の取扱いをすることを認めているから、本件協定は同規則に抵触しない。
6 給与条例主義は、決して地方公共団体当局と登録を受けた職員団体との交渉(地方公務員法五五条一項)及びこれによる協定(同法同条九項)と相矛盾するものではない。議会は、長が職員団体との協定に基づき提出する条例案が、非現業地方公務員の生存権保障を否定、制約し、または当該自治体の財政上著しく不当なものであるときに限り、条例案を否決ないし修正することができるに過ぎない。地方公務員法五五条は職員の給与、勤務時間その他の勤務条件について職員団体が地方公共団体の長と団体交渉を行ない、勤務条件について協定を結ぶことを承認したと解するのが、憲法二八条の労働基本権を尊重した正しい考え方である。
7 労働協約締結権は憲法二八条の団体交渉権の当然の帰結として承認されるから、これを否定する地方公務員法五五条二項は違憲無効であり、従つて本件協定は労働協約として効力を有する。
第三証拠 <略>
理由
一 請求原因2のとおり、原告組合と被告との間で、昭和五二年一一月二九日、本件協定が締結されたこと、請求原因5の前段のとおり、被告が原告らの要求にもかかわらず、本件協定を実施しないことはいずれも当事者間に争いがない。
二 地方公務員法五五条九項は、職員団体と地方公共団体当局との間の書面協定につき、法令、条例、規則、規定に抵触しない限りにおいて、その締結を許容しており、その反面、法令等に抵触する書面協定をその限度で無効とするものと解される。
三 まず本件協定中、特別昇給を定めた部分の効力について検討する。
給与条例五条四項は特別昇給発令の要件として「職員の勤務成績が特に良好である」ことを掲げており、同条例の施行規則である昇格規則三四条及び三六条はその具体的要件を規定している。
原告らは法律上の主張3において、右規則各条が期間短縮の方法による特別昇給に関する規定であり、しかも例示規定に過ぎないと主張する。しかし給与条例五条三項は通常の昇給発令の要件として「職員が現に受けている号給を受けるに至つた時から、一二月を下らない期間を良好な成績で勤務した」ことを掲げているのであつて、通常の昇給より有利な特別昇給はその性格上もともと期間短縮の方法によらざるを得ないものである。また昇格規則三四条及び三六条が単なる例示規定に過ぎないものとは解し得ない。よつて原告らの右主張は採用することができない。
そうすると本件協定の第三は、給与条例五条四項、昇格規則三四条、三六条所定の要件の有無にかかわらず、月数の経過のみによつて特別昇給を行なうことを定めている点で、右条例及び規則に抵触し、無効と判断される。
原告らの法律上の主張1は、給与条例五条四項に定める特別昇給の要件は、情実人事ないし不当労働行為の危険のない本件協定を禁止するものではないというが、同条例及び法規中にかかる解釈を導き出す根拠は全く見当たらず、これを採用することはできない。
原告らの法律上の主張2は、本件協定により町長が給与条例五条四項に定める「勤務成績が特に良好である」と認定したというが、本件協定は該当職員の氏名を特定・固定せず、単に一定の等級・号給の者が一定の在級月数を経過することにより、無条件で特別昇給を行なうことを定めたもので、到底、右条例の定める要件である具体的な勤務成績を認定したものとは解されず、右主張も採用できない。
四 次に本件協定中、昇格を定めた部分の効力について検討する。
給与条例五条一項は、職員の昇格について、「昇格させようとする職務の等級の定数に欠員があり、これを補充しようとする場合であつて、且つ昇格させようとする職務の等級に適すると認められる場合に限るものとする」と定めている。また同条例四条二項の授権により、昇格規則三条及び同規則別表一は等級別の標準職務を、同規則四条、五条及び同規則別表二は等級別資格基準をそれぞれ定めている。本件協定の第二、第四は、個々の職員の適性如何にかかわらず、単に一定の等級・号給の者が一定の在級月数を経過することにより無条件で昇格させることを定めたもので、給与条例四条二項、五条一項、昇格規則三条ないし五条に抵触し、無効と判断される。
原告らの法律上の主張4は、町長が本件協定により該当組合員の職務が昇格に相当すると判断したというが、本件協定は該当職員の氏名を特定・固定せず、単に一定の等級・号給の者が一定の月数を経過することにより、無条件で昇格を行なうことを定めたもので、到底、原告ら主張の判断があつたとは解されず、右主張は採用できない。
五 次に本件協定中、主査任命を定めた部分の効力について検討する。
本件協定の第一は、「第二等級六号給以上の号給に在等級するもののうち、係長以外の職員については、昭和五二年一〇月一日主査の職に任命し、二等級に在級させる」と定める。職員の任命、補職等は地方公共団体の長及びその委任を受けた補助機関たる上級の地方公務員の権限に属するところであり、自らの責任と権限によつて行なうべき事項である。(地方公務員法六条)、従つて、ある種類の職務の必要度、職員の当該職務への適性如何を問わず、一定の等級・号給の者を無条件に主査に任命することを定めた本件協定の第一は、行政責任の原則および法治主義に基づく行政権限の配分の原則に反し、職員団体が地方公共団体の当局と交渉することのできない事項についての協定であるから、地方公務員法六条、五五条三項に抵触し、無効と判断される。
六 原告らのその余の法律上の主張について検討する。
原告らの法律上の主張5は、昇格規則四五条が町長に対し、同規則によらない別段の取扱いをすることを認めているというが、昇格規則は給与条例の施行規則であるから、同規則四五条により町長が給与条例の定める職務給制度及び昇給制度を逸脱するような権限を有すると解することはできない。また本件協定は、先に見たとおり、何らの個別的事情によらずに昇給、昇格を定めたものであつて、同条にいう「特別の事情によりこの規則の規定によることができない場合又はこの規則によることが著しく不適当であると認められる場合」に該当するものではない。よつて原告らの右主張は採用できない。
原告らの法律上の主張6は、地方公務員法五五条一項、九項による地方公共団体当局と職員団体との間の交渉及び書面協定が給与条例主義に抵触しないとする理由として、地方議会の議決権の限界及び職員団体の交渉権、協定締結権を挙げる。しかし、地方議会の議決権の限界についての原告らの主張は、独自の見解であつて採用できない。また職員団体が地方公共団体当局との間で団体協約を締結することができないこと(地方公務員法五五条二項)、及び書面協定が法令、条例、規則、規程に抵触し得ないこと(同法同条九項)は法文上、明確であつて、憲法二八条によりこれを修正解釈する余地はない。よつて原告らの右主張は採用できない。
原告らの法律上の主張7は、団体協約締結権を否定した地方公務員法五五条二項が憲法二八条に違反して無効であるという。しかし地方公務員の職務は公共的なものであつて、公正、中立を保つことが不可欠であり、給与その他の勤務条件が主権者の委託に基づき定められた法律及び条例によつて法定されているのであるから、憲法二八条の適用については、私企業の労働者と異なる内在的制約があるものといわなければならない。そして地方公務員の身分が保障されており(地方公務員法二七条以下)、勤務条件に関し、措置要求の権利が認められ(同法四六条以下)、職員の給与が「生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められ」ること(同法二四条三項)、国や他の地方公共団体との間の給与その他の勤務条件の均衡に考慮が払われること(同法同条六項)、すなわち都道府県の人事委員会の勧告に準じて給与が決定されるものであることに鑑みれば、地方公務員法五五条二項は憲法二八条の内在的制約として己むを得ない規定であり、違憲ではないと判断される(最高裁判所昭和四八年四月二五日大法廷判決・刑集二七巻四号五四七頁参照)。よつて原告らの右主張は採用できない。
七 以上のとおり、本件協定の各条項の定めはすべて無効であるから、原告らは被告に対してその実施を求めることはできない。また本件協定の内容は職務給主義を原則とする地方公務員法二四条一項に反するものであり、しかも同法五五条九項の定める書面協定は、少なくとも給与その他の勤務条件に関するものである限り、私法上の効力を生ずるものではない。従つて町長は本件協定に応じた条例案を議会に提出し、または規則を改正する「債務」を負うものではなく、かえつて右のような行為は法律により禁止されているものである。
八 最後に原告らは本件協定不実施ないし破棄通告による不法行為の成立を主張するので、次にこれについて検討を加える。
原告古井は、本件協定の不実施による、協定に基づく賃金と現実に受領した賃金との差額との損害をいうが、本件協定が有効であつても、損害は法定利率によるものしか認められない(民法四一九条一項)。のみならず、同原告の請求は、たとえ、不法行為の構成によるとしても、結局、給与条例主義を潜脱するものであつて、許されない。
原告組合は、小島町長の本件協定の破棄通告により名誉と信用を毀損されたというが、本件協定の法的効力に関する町長の見解表明のみによつて原告組合の社会的評価及び信用が毀損されるものでないことは、社会常識上、明らかである。
更に原告組合は、本件協定の破棄通告により原告組合の団体交渉権と団結権が侵害され、それ自体、著しい名誉毀損であるというが、前同様、本件協定の法的効力に関する町長の見解表明が原告組合の有する交渉権と団結権を侵害したとか、これにより、原告組合の社会的評価が毀損されたというものでないことは、社会常識上、明らかである。
九 よつて原告らの請求は、その余の争点につき判断するまでもなく、いずれも理由がないから、これを棄却すべきであり、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九三条一項本文を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 猪瀬俊雄 太田幸夫 小林秀和)
(別紙一)
掲示文(案)
当局は、貴職員組合と昭和五二年一一月二九日締結した書面協定を一方的に破棄し、貴職員組合の団結権を不当に侵害し、もつて貴職員組合に対し多大な迷惑をかけました。
このことを深く陳謝するとともに以後は書面協定を遵守することを誓います。
昭和 年 月 日
財部町長
(別紙二)
協定書
財部町長小島光(以下「甲」という。)と財部町役場職員組合長古井秀明(以下「乙」という。)は、昭和五二年一〇月一四日締結した行政職(一表)適用職員の昇格運用をめぐる諸問題解決のための基本協定の実施について次のとおり合意に達したので協定する。
記
第一 昭和五二年一〇月一日現在二等級六号給以上の号給に在等給するもののうち、係長以外の職員については、昭和五二年一〇月一日主査の職に任命し、二等級に在級させるものとする。
第二 三等級八号給に達し一二月を経過したものは、主査の職に任命し、二等級に昇格させる。
第三 次に掲げる等級の昇給に達し一二月を経過したものは一号給の特別昇級を行う。
(1) 二等級一三号給
(2) 二等級一九号給
2 二等級一六号給に達し六月経過したものは、一八号給に特別昇給を行う。
第四 二等級二三号給に達し一二月を経過したものは、一等級一五号給に昇格させることができる。
第五 第三、第四の実施時期は昭和五二年四月一日とし、これに伴う二等級に在級するものの調整を実施する。
第六 本協定の実施について疑義を生じたときは、甲乙協議し定める。
(別紙三)
財部町職員の給与に関する条例(抜粋)
第四条2 職員の職務は、その複雑、困難及び責任の度に基づき、これを給料表に定める等級に分類するものとし、その分類の基準となるべき標準的な職務の内容は規則で定める。
第五条 職員を昇格(職員の職務の等級をその上位の等級に変更することをいう。以下同じ。)させるには、昇格させようとする職務の等級の定数に欠員があり、これを補充しようとする場合であつて、且つ昇格させようとする職務の等級に適すると認められる場合に限るものとする。
3 職員が現に受けている号給を受けるに至つた時から、一二月を下らない期間を良好な成績で勤務したときは、一号給上位の号給に昇給させることができる。
4 職員の勤務成績が特に良好である場合においては、前項の規定にかかわらず、前項に規定する期間を短縮し、若しくはその現に受けている号給より二号給以上上位の号給に昇給させ、又はそのいずれをもあわせて行なうことができる。
(別紙四)
初任給、昇格、昇給等の基準に関する規則(抜粋)
第三条 条例第四条第二項に規定する職務の等級の分類の基準となるべき標準的な職務の内容は、別紙第一に定める等級別標準職務表に定めるとおりとし、同表に掲げる職務とその複雑、困難及び責任の度が同程度の職務は、それぞれの職務の等級に分類されるものとする。
第四条 職員の職務の等級を決定する場合に必要な資格は、この規則において別に定める場合を除き、別表第二に定める等級別資格基準表(以下「等級別資格基準表」という。)に定めるとおりとする。
第五条 等級別資格基準表は、その者に適用される給料表に応じ、かつ、試験欄の区分及び学歴免許等欄の区分に応じて適用する。この場合において、それぞれの区分に対応する同表の職務の等級欄に定める上段の数字は当該職務の等級に決定するための必要在級年数を、下段の数字は当該職務の等級に決定するための必要経験年数を示す。
第三四条 職員が次の各号の一に該当する場合には、特別昇給定数の範囲内で、その昇給期間を短縮して直近上位の給料月額(条例第五条第五項の規定の適用を受ける職員にあつては、同項の規定による直近上位の給料月額をいう。以下第三六条及び第三八条において同じ。)に昇給させることができる。
(1) 勤務成績が特に優秀であることにより表彰を受けた場合(第三七条第二号に該当し、同条後段の規定により町長の承認を得た場合を除く。)
(2) 勤務成績評定書に記録されている職員の勤務実績に係る評語が上位の段階に決定され、かつ、執務に関連して見られた職員の性格、能力及び適性が優秀である場合
(3) 第二号に該当する職員若しくはこれに準ずる職員が昇格した場合
2 前項に規定する特別昇給定数は、一年について、任命権者ごとの定数に一〇〇分の一五を乗じて得た数(その数が一に満たないときは、一)をこえない範囲内で、任命権者ごとに町長が定める。
第三六条 勤務成績の特に良好な職員が次の各号の一に該当する場合には、その昇給期間を短縮して直近上位の給料月額に昇格させることができる。この場合において、第一号又は第二号の規定により昇格させるには、あらかじめ町長の承認を得なければならない。
(1) 研修に参加し、その成績が特に良好な場合
(2) 業務成績の向上、能率増進、発明考案等により職務上特に功績があつたことにより、又は辺地若しくは特殊の施設においてきわめて困難な勤務条件の下で職務に献身精励し、公務のため顕著な功労があつたことにより表彰又は顕彰を受けた場合
(3) 二〇年以上勤続して退職する場合
(4) 職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じたことにより退職する場合
第四五条 特別の事情によりこの規則の規定によることができない場合又はこの規則の規定によることが著しく不適当であると認められる場合には、別に町長の定めるところにより、又はあらかじめ町長の承認を得て、別段の取扱いをすることができる。